【地味にスゴイ!業界研究】鉄鋼業界編

みなさんの生活を支えているけど、ちょっと認知度が低い業界を特集する「地味にスゴイ!業界研究」。

第6回は「鉄鋼業界」です。

いやいや、鉄鋼業界って、ぜんぜん認知度あるでしょ!と思われる方、多いのではないでしょうか。かつては日本の高度成長を支えた花形産業でしたが、今では学生認知は低下してきています。

しかし、鉄鋼業界は現在も国を支えている業界。そんな、鉄鋼業界にフォーカスを当てていきます。

1.「鉄は国家なり」国家になくてはならない偉大なる産業

「鉄は国家なり」という言葉、ご存じですか?

鉄は、自動車や機械、建設など、あらゆる産業に使われています。そんな様々なものを作るインフラになるものが鉄であり、鉄の生産量が国力と言われていました。もちろん、今でも様々なところで活躍しています。

そんな日本の鉄鋼業界は、どのような現状なんでしょう。

経済産業省の鉄鋼・非鉄金属・金属製品 統計年報によれば、2008年に1億1,874万トンあった国内粗鋼生産量は、リーマンショック後の2009年に8,753万トンまで激減。その後「アベノミクス」効果や、東京オリンピック・パラリンピック開催での建設関連投資の活発化したことを受け、2017年には1億466万トンまで回復しました。

それでも、平成28年度の経済センサスによると、鉄鋼業界の市場規模は2015年で国内総出荷額17兆8,419億円。国内では、かなり規模の大きい業界です。石油よりも、プラスチックよりも、紙よりも大きな業界になっています。

経済産業省の「日本の鉄鋼産業の現状と課題」によると、製造業全体のGDPにおける鉄鋼業の割合は8.4%。金額にして9.5兆円、従業員数22万人と従業員数も多く、重要な産業となっています。これらから見ても、鉄鋼業界は日本を支えている業界です。

2.存在感抜群の高炉メーカー 鉄鋼業界の仕組みを解説!?

鉄鋼メーカーは主に高炉メーカー電炉メーカー、そして特殊鋼メーカーの3つに分かれます。

高炉メーカーとは、原料の鉄鉱石から粗鋼まで、一貫生産するメーカーのこと。
大量生産が可能で、生産コストを抑えることができます。また、鋼の厳密な成分調整が可能で、高品質な鋼を生産することが可能です。


写真出典:新日鐵住金

電炉メーカーは、くず鉄などを溶かして鉄鋼を生産するメーカーのこと。名前の通り、電気で動く炉。操業の自由度が高く、電炉を止めて需給調整を行うことができます。初期投資が少ないこともメリットです。

電炉メーカーの中で、レアメタルなどの副原料を使って、特殊な機能を持つ高級鋼を生産するメーカーを「特殊鋼メーカー」と呼びます。


写真出典:城南製鋼所

日本では、一貫生産を行い、価格も安く抑えられる高炉メーカーがシェアの約8割と大きなシェアを持っています。それができる資本力、生産規模があることを意味しています。

なお、高炉は運転を止めると、中で溶けていた鉄が固まってしまい、再び稼働させる際に大きな手間がかかります。そのため、一度運転を始めた高炉は、少なくとも10年以上、365日24時間連続操業が基本となるそう。長期的な視点で事業を捉えていかないと、展開できない事業なんです。

3.海外メーカーとの生き残りをかけた熾烈な戦い

世界で最も粗鋼生産量が多いのは、中国。世界の生産量の約半分を占めています。

かつて、日本は生産量トップでしたが、中国の資本と規模の前に敗れました。基本的に鉄鋼業は事業規模が大きければ大きいほど、コストが削減される業界。中国メーカーに対抗するためには、日本の企業も事業拡大をする必要があり、各社で規模拡大に向けた動きが慌ただしくなっています。

最近では、国内トップ・世界3位の新日鐵住金が日本4位の日新製鋼を子会社化。また、特殊鋼事業では、スウェーデンの有力メーカー、オバコを買収したのに続き、山陽特殊製鋼を19年3月に子会社化するなど、活発に動いています。

電炉鋼業界でも、業界6位の合同製鉄が、11位の朝日工業を子会社化する方針を打ち出しています。ここも、海外からの安い輸入鋼材に対抗するもの。

中国の過剰生産で供給過多になっているところもあり、日本企業は生き残りをかけた戦いをしています。

4.鉄鋼業界の企業を見てみる

そんな、鉄鋼業界の企業をご紹介します。

新日鐵住金:世界で戦う日本のトップメーカー。総合力世界No.1を目指す
粗鋼生産量において、日本1位・世界3位の高炉メーカー。船舶や建築産業機械、橋梁などに用いられる厚板や建築物やトンネルなどに用いられる薄板などの資材を生産している。特に自動車用鋼板での競争力は随一のものがある。従業員数93,557名(連結)、グループ企業数491社の巨大企業です。

JFEホールディングス:日本2位からグローバル鉄鋼サプライヤーへ
JFEグループの鉄鋼事業の分野にあたる企業グループ。JFEスチール・JFEエンジニアリング・JFE商事からなる企業体です。海外拠点数20か所、輸出比率は44%にもなります。インドのJSWスチールとの関係強化や、タイ・インドネシアでの自動車用鋼板ラインの建設など、グローバルな展開を拡大しています。

東京製鐵:電炉メーカートップ企業であり、独立系の雄
国内4工場・6営業拠点体制で年間240万トンの鉄鋼製品を販売する国内最大手の電炉メーカー。鉄スクラップに含まれる特殊元素を有効活用することで、鉄スクラップをH形鋼、コイル製品、厚板等にリサイクルしています。高炉メーカーではないと出来ないと言われていた分野にも果敢に挑戦し、常に新しい製品を生み出している企業です。

5.鉄鋼業界の代表的な職種を紹介

ここでは、鉄鋼業界の代表的な職種を紹介します。

〇事務系職種
事務系の職種では、営業や一般的な事務職、総務系の職種の他に、「生産管理」と「購買」の職種が特徴的です。生産管理は、常に稼働しつづける製鉄所において、日々の出荷スケジュールや生産スピードを把握しながら、スムーズな生産を管理する職種です。購買は、鉄鉱石や石炭など、原料が主に海外からの調達になる鉄鋼業界において、非常に重要な職種です。年間何百万トンにもなる原料を、適切な量、適切なタイミングで入荷できるよう、管理しています。

〇技術系職種
技術系の職種では、実際に機械を動かし、製造する「製造技術」や「操業技術」という職種。製鉄所の大規模な機械を管理し、整備を新設する際は仕様の検討や設計もする「整備技術」。新しい機能や特性を求め研究し、新たな鋼を生み出す「研究開発」などがあります。

6.終わりに

いかがでしたでしょうか。産業になくてはならないものであり、世界と戦う鉄鋼業界。泥臭いように見えますが、スマートにグローバルに展開する業界でもあります。

日本での需要は減っていても、世界では需要は増え続けています。中国が規模で勝ってはいますが、技術なら負けません。そんな状況をひっくり返して、再び日本を世界トップにするのは、あなたかもしれません。

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書いた人:しごとの道しるべ 編集部
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