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2020年04月01日
みなさんは、「理学療法士」という仕事を知っていますか?
今、そんな理学療法士の世界を広げようと、借金を背負い、Wワークをしながら、活動をしている介護士がいます。
職業は介護士、世界を広げたいのは理学療法士。
なぜ介護士の方が、理学療法士のために活動しているのか。
借金を背負い、Wワークをしてまで、何を実現したいのか。
気になったので、菅原和也さんにお話しを聞いてみました。
コンドウ:はじめまして。本日はよろしくお願いします。
菅原さん:よろしくお願いします。
電波が悪いので、外に移動してくれた菅原さん
コンドウ:盛りだくさんで、どこから聞けばいいのかわからなくなってますが(笑)
まずは、今どのような活動をしているのか、聞かせてください。
菅原さん:今は、介護士をメインで、松〇でアルバイトして生計を立てながら、医療と介護に特化したオンラインサロンと勉強の場を提供しています。
コンドウ:……なるほど……。って全然わかりませんよ!
まずは、菅原さんが理学療法士に興味を持ったきっかけを教えてください。
菅原さん:わかりました。小学校から高校3年生までずっと、サッカーをしていました。部活の合宿で、よくチームメイトにマッサージをしてたんですけど、終わると、ありがとうって言われるんです。
コンドウ:それは、ありがとうって言われますよね。
菅原さん:自分としては、当たり前だと思ってやっていたんで。でも、ありがとうって言われた時に、やっぱり嬉しくて。そんな経験から、進路を決める時に「理学療法士」という仕事を選びました。
コンドウ:そして、大阪の四条畷学園大学に進学したんですよね。ちなみに理学療法士ってどんな仕事なのでしょうか。
菅原さん:理学療法士は、病気やケガなどが原因で身体機能に障害を持った人に対して、理学療法を用いて、身体の機能が回復できるように、運動の指導や治療を行うリハビリの専門家です。おそらく理学療法士の8~9割の人が病院で勤務していると思います。
コンドウ:ほとんど病院なんですね。大学に入学してからは、どのように過ごしていましたか?
菅原さん:めっちゃ楽しかったです!楽しくてめちゃめちゃ勉強してたんですよ。2年連続で学内トップ取ったりして。楽しすぎて、正直勉強だと思ってませんでした。
ただ、1.2年生のころは、理学療法士がどんな仕事なのかよくわかっていなかった。卒業が近くづいてくるにつれ、リアルなところが見えてきて、違和感が……。
学生時代の菅原さん
コンドウ:勉強がめっちゃ楽しいって、うらやましい!それにしても、違和感というのはどういうことでしょうか。
菅原さん:これが休学の理由にもなってくるのですが、3つあります。
1つ目は、将来への不安です。
理学療法士の年収って、一般的な平均年収よりも30万円ぐらい少ないんです。さらに、今、理学療法士の需要とバランスが崩れてきていて……。最初は希少価値が高かったんですけど、急激になりたい学生が増えて、供給が多い状態。働きたい場所で働くのも難しくなってくると思います。
コンドウ:専門的な知識が必要だけど、給料は低い。難しい問題ですね。2つ目は?
菅原さん:2つ目は、「経営者になる」と決めたからです。
コンドウ:……経営者ですか!?
菅原さん:自分自身が貧乏な家に生まれて、お金で苦労しました。だから、「お金持ちになりたい」=「経営者になりたい」という夢があって。ある経営者の方と出会った際に、後押しをしてくれて…。そこで、決心しました。
コンドウ:なるほど。最後の3つ目は?
菅原さん:3つ目は、自分の好きに時間を使いたかったから。実は、同じ作業をするのが、大の苦手で。理学療法士って、患者さんや症状は変わるけど、根本的なやることは一緒だなと思ってしまったんです。その時に、1から100をつくるよりも、0から1を作ることをしてみたいと思ったんですよ。
コンドウ:確かに細かい違いはあれど、大きな意味では、同じ作業かもしれませんね。それで、休学することに決めたと。
菅原さん:そうです。それで、3年生の時に休学しました。
コンドウ:休学した後のことは、具体的に決まってたんですか?
菅原さん:医療や介護を勉強している学生さんが勉強や実技練習をできるスペースを作りたいと思ったのが、最初です。さっき、大学がめちゃめちゃ楽しかったという話をしましたが、めっちゃ楽しいのに、大学が21時までしかやってないんですよ。特に、テストの前なんかは、実技の練習をしなきゃいけないのに、練習する場所がなかった。日曜日もやってないし、どこで練習すればいいねん!って感じでした。
理学療法士を目指している学生や他の医療系の学生にリサーチしてみても、そういう場所が欲しいという声が多くありました。
コンドウ:確かに実技練習となると、それなりの場所が必要そうですね。プロフィールを見ると、そこから借金をし始めたようなのですが。
菅原さん:勉強の場所を作るためには、まずは資金が必要だと思ったんです。そこで、稼ぎ方を勉強しようということで、僕が経営者になるきっかけをつくった経営者の方に教えてもらおうと門を叩きました。実はそれが、借金の原因なんですけど……。
コンドウ:えっ!?休学のきっかけとなった人が借金の原因なんですか?
菅原さん:その方が「起業したい人向け」にセミナーをやっていたんですけど、そこに参加しました。参加した際に、「もっと他のことも教えてあげるよ」ということで、新しいビジネスのセミナーを案内されて……。「ここで払わないやつは成功しないよ!」と押されたのもあって、セミナー代の60万円をお支払いしました。
コンドウ:……いきなり60万円……。
菅原さん:そこでは、「物販(簡単に言うと、安く仕入れて、高く売る)」というビジネスを教えてもらって、そのあとは「ネットワークビジネス」というのを教えてもらいました。
コンドウ:どんどんいきますね。
菅原さん:さらに2か月くらいたったころ、その経営者さんが、実はグレーな稼ぎ方をしているという噂が出ていました。いま考えると、自分が参加してたセミナーのことなんですけど(笑)。
自分でも、自分のやっていることって、怪しいんじゃないかと思い始めていたタイミングとも重なって。そんな話をしている時に、他の人から、ここは危ないから、違うやり方で稼ごうと誘われて……。そこで教えてもらったのが「バイナリーオプション」でした。
コンドウ:またなんか怪しそう!!
菅原さん:バイナリーオプションってそもそも確率論で言うと、必ず負けるようになってるんです。なので、だんだん稼げないことがわかってくると、「稼げる方法」という商品を売り始める。それが、いわゆる今、大学生の間で問題になっている、バイオプ関連の詐欺の案件ですね。
コンドウ:確かに、いま大学でけっこう聞きますね。
菅原さん:その時に、これは人に迷惑をかけてしまうものだと気づいて。そこで、きっぱりやめました。
ただ、この間にお金を稼げなかったので、生活費もままならず。生活のために、ちょっとずつ借りていたお金が、いつしか200万円になってました。
コンドウ:そんなに!?
菅原さん:正直、借金の借りれる限度額が近づいてきて、その時点で8社から借りてましたし…。もうこれ以上はヤバイ!というところまで来てましたね。おかげで、きっぱりやめることができました。
コンドウ:高い勉強代でしたね。
コンドウ:そのあとは、薬局でのアルバイトを挟んで、今の介護士の仕事についています。なぜ急に介護士に?
菅原さん:アルバイトの時に介護施設の社長さんと知り合って、僕の話を聞いて、手を差し伸べてくれたんです。借金のこと、休学のこと、これからやりたいこと、全て聞いた上で受け入れてもらえた。僕の人生の中で、この出会いが一番大きいと思います。
コンドウ:介護士の仕事自体には、抵抗はなかったのでしょうか
菅原さん:正直、介護士になった最初の目的は、とにかく生活費のためでした。ただ、もともと勉強していたことに近かったというのもありますし、毎日利用者の顔を見ていると気づくことがあります。勉強していたリハビリという視点を介護にいれると、また世界が広がったり。そういう意味では、抵抗は全然ありませんでした。
介護士として働く姿
コンドウ:ここからが怒涛の展開なのですが、介護士を初めてから半年の間にWワーク、勉強スペースのOPEN、オンラインサロンを始めていますよね。これまでと違ったスピード感ですが。
菅原さん:借金を返すために介護士を始めて、アルバイトも始めました。そうすると、けっこうお金が入ってくる。もちろん返済もしていくんですけど、最低限返さなきゃいけなお金を返しても、それなりに残る。普通だったら、早く返済していくと思うんですけど、僕はこのお金を使えば、自分のしたいことを始められるし、社会にも還元していける!と思ってしまって。
コンドウ:確かに、最低限返していけるのであれば大丈夫なのかもしれませんが。普通は、早く返しますよね(笑)。
菅原さん:返済する過程って、自分のためにやるんですけど、10年後を考えたときに、人のために還元できる使い方の方が、絶対にいいって思った。そこを吹っ切れてからは、早かったです。
その時、知り合っていたカフェの方に話しをして、月2回勉強スペースとして使わせてもらえるようにしました。それから2ヶ月の間で、独学でホームページを作って、決済システムを導入して、オンラインサロンをスタートさせました。
開放している勉強スペース、おしゃれ!
コンドウ:すごいスピード感ですね。なにがそうさせたのでしょう。
菅原さん:やっぱり、借金を返済しながらでも行動できることに気付いたこと。そして、最終目標ができたことですかね。
コンドウ:最終目標とは?
菅原さん:理学療法士の職域を広げることです。休学してから、いろいろな方とお話をする中で、理学療法士ってちゃんと知識も合って、専門的な技術を持っているのに、選択肢が少ないなと思ったんです。文系の学生や他の学生に比べて、選択肢がない。
リハビリや体の仕組みのことについて、詳しいので、介護施設やスポーツをする人のケア、整体、いろんな選択肢が作れるはずなんですけど、それを知らない学生が多い。オンラインサロンでは、実際にそういう活動をしている人とか、独立して開業している人に話を聞いたりとか、こういったこともできるよってことを伝えていっています。
オンラインサロンのイメージ
コンドウ:もう少しオンラインサロンのことを聞かせてください
菅原さん:今は、18名の会員がいて、学生から経営者の方まで、幅広い層のメンバーが集まっています。僕が週1回、このオンラインサロンの使い方、これからどうしていきたいかなどを動画配信していて、さらに月1回を目安に現役の理学療法士の方に来ていただいて、リアルな場で勉強会も開催しています。
勉強会の様子
運営には、飲食店を経営しながら理学療法士をしている方とか、理学療法士を経て整体サロンを運営している方など、すでに職域を広げている方もいます。
コンドウ:スタートしたばかりですが、いろんな活動が生まれていますね。それにしても月会費が320円って安くないですか?
菅原さん:基本は学生に向けたオンラインサロンを展開しようと思っていたので、トライしやすい価格にしました。ただ、少しでもちゃんと学びたいという意識のある子に来てほしかったので、無料にはしていません。おかげで、意識の高い学生が集まってきています。
コンドウ:今はオンラインサロンをスタートさせたばかりですが、これからの目標はありますか?
菅原さん:オンラインサロンとしては、もっと色々なイベントやコンテンツを充実させていきたいと思っています。自分の目標としては、理学療法士のスキルが活かせる介護施設を立ち上げたい。自分のnoteにも宣言しちゃっているのですが、28歳になる2024年にはできている予定です(笑)。
あとは、海外でも理学療法士のスキルを活かせる仕事を探したいなと考えています。今だと、海外でそのスキルを活かすのは難しいのですが、介護・福祉やマッサージが盛んな国に行って、可能性を見てきたいと思っています。今月はタイに、来年はオーストラリアに行く予定です。
コンドウ:海外にも⁉いろいろな可能性が見えてきそうですね。こんなことを聞いていいのかわからないのですが、菅原さん自身は、理学療法士にはならないのですか?
菅原さん:本当は、死ぬまでにはなりたかったんですけど、この活動を応援してくれる人から、ならなくていいんじゃないの?って言われて。理学療法士を応援する理学療法士って普通じゃん、介護士なのに理学療法士を応援してる方が、おもしろいじゃんって(笑)。なので、他の目標を達成した最後になるかもしれません。
借金をして、Wワークをしながら、オンラインサロンしてるって、どんな人かと思いましたが、中身は誠実に理学療法士に向き合い続ける、熱い方でした。
やりたいことにがむしゃらに向き合い、借金をしてもめげずに、さらにアクセルを踏む菅原さん。きっと、理学療法士の新しい未来をつくってくれるのだと思います。あきらめずに、すぐ行動。これが、新しいことに取り組む秘訣なのかもしれません。
介護や医療に興味のある方、これから勉強会もどんどん開催するそうなので、のぞいてみてください。。
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