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2020年04月01日
お待たせいたしました!みなさんの生活を支えているけど、ちょっと認知度が低い業界を特集する「地味にスゴイ!業界研究」。
第2回は「車イス」を研究します。
食品、旅行、金融のようにイメージしやすいBtoC業界だけではなく、BtoB企業のような地味だけどスゴイ!と言ってしまうような知らないともったいない!世界を見ていってください。
車イスの出荷台数は、1年間で約50万台です。これは2010年のiPad国内出荷台数と同じくらいの規模です。
いきなりよくわからない例えを出してしまって、すみません。
車イスの市場規模は「福祉用具産業市場動向調査報告 2014 年度版」によると、平成26年度における出荷額は約224億円。出荷台数は約50万台とされています。ちなみに補聴器も年間このぐらいの出荷台数。福祉関連のものの出荷台数の目安なのでしょうか。
同報告によると、過去5年間で約15%増加。高齢化に伴い、じわじわと出荷台数を増やしています。
あまり詳しい統計はないのですが、その後は横ばい。高齢化だからといって、爆発的に出荷台数が増えているわけでもないようですが、東京パラリンピックや続く高齢化で注目の業界です。
出荷台数は増えてはいないものの、高齢化社会において需要が減ることはありません。そんな車イスは年々進化しています。地味にスゴイ!
主にオートバイや電動自転車などを手掛けるヤマハ発動機も、車イス業界でも活躍しています。元々、手動の車イスを部品を取り換えることで簡単に電動化できる「車イス用電動ユニット」の製造・販売をしていましたが、最近では電動自転車の技術を応用し、「電動アシスト車イス」を開発しました。
写真出典:ヤマハ発動機 電動車イスサイト 商品名 JWアクティブ PLUS+
https://www.yamaha-motor.co.jp/wheelchair/
例えば、傾斜した路面もまっすぐ走れたり、坂道をアシストしてくれたり。腕の筋力が衰えてしまい、自分で操作が難しくなった車イス利用者も自立生活を長く続けることが可能になります。体力的にも長い距離を動かせるようになるなど、多くのメリットがあります。まさに電動自転車のよう!
次に紹介するのは、国内シェア3割を誇る松永製作所。金属製が一般的な車イスですが、樹脂製車イス「morph(モルフ)」を開発しています。約4年前に全日本空輸(ANA)から、金属探知機に反応しない車イスの開発を打診されました。空港では保安検査場のセキュリティーゲートを通る際に、どうしても探知機が車イスの金属部分に反応してしまい、必ずボディチェックを受けなくてはいけませんでした。そのような不便さや身体的な負担を解消し、スムーズに搭乗してもらえるよう、同社は開発を行ったのです。様々な非金属素材を試した結果、樹脂製にたどり着きました。現在では、羽田空港の国内線などに導入され、快適な搭乗が可能となっています。
写真出典:松永製作所 製品紹介 モルフ
http://www.matsunaga-w.co.jp/search/detail_153.html
最後に紹介するのは、まさに車イスベンチャーとも言えるWHILL社が開発した、社名と同じ名前の「WHILL」という電動車イス。まるでマウスを操るような感覚で前後左右と自在に操作できる操作性。小回りも利くし、7.5センチまでの段差は乗り越えられ、砂利道のような悪路も走行可能。さらに、先進的なデザイン性で、車イスの未来を開いています。
写真出典:WHILL ModelA
https://whill.jp/features
このように電動化が進んでいます。ゆくゆくは全自動化や別の場所からの遠隔操作など、更なる自動化が期待されるでしょう。
みなさん車イスメーカーって聞いたことある会社ありますか?ちなみにわたしは1社も思い浮かびませんでした。
調べてみたところ、日本製の車イスは東海地方、言ってしまえば、愛知と岐阜で国内シェアの8割ほどを占めているようです。
まずは、業界最大手の日進医療器さんが愛知、こちらも業界大手の松永製作所さんが岐阜県。その他にも、ニックさんも愛知県、他にもカワムラサイクルさんが兵庫県など、ほぼほぼ東海地方なんです。
なぜ、この地域にあるのかは諸説あるようですが、TOYOTAさんを筆頭に自動車産業や工作機械などのメーカーが集まる地域。もともと、下請けの部品メーカーだった会社が技術を応用して車イスを作り始めたなど、幅広い技術が集まった結果、車イスも盛んなってきたというのが有力なようです。
中国、台湾などからの輸入が増えて来ている車イス業界ですが、オーダーメイドの車イスなどはこの地域で作られています。
※車イスは、使用する人のライフスタイルや身体条件など様々なものを考慮する必要があるため、オーダーメイドのニーズがあります。たしかに、生活に密着するものなので操作のしやすさや身体へのフィット感などは重要ですよね。
そんな車イス業界の主要企業をご紹介します。
国内外のスポーツ大会で使われる競技用車イス、日常利用のファッション性の高い車イスなど、様々なタイプの車イスを製造。2017年3月期の売上高は56億円と国内生産額No.1を長年維持しており、中でもオーダーメイド車イスでは国内シェア約60%。バスケットボール、陸上などで活躍しているプロ競技用車イスの開発も行っており、専門の技術者が強化合宿や競技会にも同行しています。2020年の東京パラリンピックで、同社の車イスが見られるかも!
車イスを中心に、ケガ人や病院を搬送する際に用いるストレッチャーや歩行器、杖、入浴補助器といった、医療・福祉用具を製造・販売。2016年5月期の売上は69億円、車イスの売上は国内No.1、国内シェアの3割を誇り、日進医療器と国内シェアを二分しています。前述した、樹脂製の車イス「morph」を開発したのもこちらの会社。グッドデザイン賞も受賞しています。
競技用車イスの開発・販売で、多くのアスリートから高い支持を得ている同社は、競技人口の多いテニスやバスケットボールにおいて国内シェア8割にのぼる。創業はバイクショップでしたが、創業者がオートバイの試乗中に事故で不自由な体に。さまざまな車イスを使用するも、機能やデザインに思うものがなく、自ら製作を始めたという異色の会社。今では、海外のパラリンピックの選手からも制作の依頼があるほど。7度のパラリンピックで同社の車イスは100個以上のメダルを獲得しています。
いかがでしたでしょうか。普段街で見かけているようで、じつは知らない車イス業界。
これからは、どこの車イスかな?と気になってしまうのではないでしょうか。東京パラリンピック、少子高齢化と需要は落ちることはありません。そんな中で、電動化・自動化と乗っている人にも、介助する人にも使いやすいように、日々進化しています。全自動の車イスもあと数年で実現するかもしれません。
地味にスゴイ!車イス業界!
書いた人:しごとの道しるべ 編集部
あなたの「明日」が変わる就活マガジン「しごとの道しるべ」のコンテンツ制作チーム。就活コラムやインタビュー記事など、さまざまな「しごとの道しるべ」をお届けします。
twitter:@4510_michi
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