新卒、辞めた。早期離職からのリベンジ就活!【就職に有利な資格は ズバリ◯◯◯!】
2020年04月01日
お待たせいたしました!みなさんの生活を支えているけど、ちょっと認知度が低い業界を特集する「地味にスゴイ!業界研究」。
第3回は「飼料」を研究します。
飼料って、あんまり聞かないですよね。簡単に言うと動物や魚にあげる「エサ」のことです。みなさんが身近に感じる食品業界の更に川上に位置する、ある意味原料メーカーにも似たこの業界。
今回はエサ=飼料業界を就職活動として大研究!
食品、旅行、金融のようにイメージしやすいBtoC業界だけではなく、BtoB企業のような地味だけどスゴイ!と言ってしまうような知らないともったいない!世界を見ていってください。
これ、あまり知られていませんが、牛や豚・鶏を育て、出荷する畜産業では経営コストの約半分は飼料費。つまりエサ代が半分もかかっているんです。
下の表によると、私たちが肉として食べている肥育牛(牛肉)は39%、肥育豚(豚肉)は65%、養鶏(鶏肉)は67%。
これってすごく多くないですか?人間と比べるとすさまじいエンゲル係数になるのではないでしょうか。生活費の65%を食費とは…ちなみに、日本でのエンゲル係数はおよそ25.4%らしいです!
なので、例えば仮にとんかつ用に豚肉を1000円分購入したとすると650円が飼料代なのです。(もちろん販売店の利益や輸送費があるので、購入する時点ではこの計算式ではありませんが。)
そんな飼料の需要量、近年は2,400万TDNトン*1前後で推移しており、平成28年度は2,376万TDNトンが使用されています。もう単位が大きすぎて全くイメージがつきませんね。ちなみに、業界の市場規模はおよそ5,400億円です。
*1:TDN(Total Digestible Nutrients):家畜が消化できる養分の総量。カロリーに近い概念
ここで重要なのが飼料の自給率。実は日本で使用される飼料穀物の多くは輸入で賄われています。平成28年度の国内産飼料自給率は27%と4分の1と低い状況。輸入飼料は、国際相場等に左右されるなど安定しません。
また値段の変化だけでなく、国際情勢によっては供給自体がストップしてしまう可能性もあります。また、国内生産を行うことで、畜産経営の安定、農業経営の安定にもつながるのです。
このように、飼料メーカー各社は飼料自給率向上に力を入れ始めています。この取り組みを見てみましょう!
自給率の向上の取り組みとしては、新たな飼料の原料として、国内で生産しやすい穀物として「お米」が注目されています。
飼料でよく使用される、とうもろこしとほぼ同等の栄養価があり、使われていない水田の有効活用にも繋がります。飼料用米は5年前の約4倍と順調に作付面積を増やしています。
また、代替えとして使われるだけではなく、畜産物のブランド化にも一役買っています。
例えば、トキワ養鶏さんの「こめたま」は飼料用米を最大68%を配合したした飼料を与え、黄身がなんとレモンイエローに。
味もさっぱりと上品な口当たりながら、旨みたっぷりで栄養豊富だそう。FOOD ACTION NIPPON アワード 2009で大賞&農林水産大臣賞をダブル受賞している人気の商品です。
次は、エコフィードという、食品廃棄物を活用する取り組みをご紹介します。
食品工場やスーパーなどから廃棄される食品を集め、飼料にする非常にエコな取り組みです。現在、飼料全体の約6%がエコフィードによるものとなり、毎年少しずつ上昇しています。
各企業もこの取り組みに力を入れ始めています。小田急電鉄の小田急グループは、グループの一部の飲食店やホテル、スーパーマーケットから排出された食品廃棄物を株式会社日本フードエコロジーセンターに卸し、飼料化、契約養豚農家に販売しています。
また、その育った豚を小田急電鉄のスーパーマーケット事業である、「Odakyu OX」にて、「優とん」のブランド名で販売しています。おいしそう!
食品廃棄物を利用するエコフィードは、環境にやさしいだけでなく、付加価値もつく、非常に有効な取り組みとなっています。
飼料はいかに効率よく、成長させるかという点において重視されますが、他にも味に大きな関連性があります。
例えば、鹿児島で有名な黒豚ですが、黒豚の特徴は脂っこくないさっぱりとした味わい。
その味が出せるポイントは飼料として給餌している、これまた鹿児島名産の「さつまいも」。
食物繊維が多く、脂肪の吸収が抑えられるため、さっぱりとした味わいになるのです。
続いては、卵の黄身。なんとなくオレンジ色が濃い黄身の方が濃厚でおいしそうな気がしませんか?
これもエサの影響なんです。通常の黄色の黄身はトウモロコシ主体のエサ、オレンジ色の黄身はパプリカなどの赤い色素が多いエサを与えます。
けっこう単純で驚きますが、食べたものの色素が影響するんです。
最近では、この飼料に特徴を出し、名物・名産品としてい売り出しているものもあります。
例えば、鹿児島県で養殖されている「柚子鰤(ゆずぶり)王」。柚子を飼料に加えることで柚子の香りがするとのこと。
これにより、魚の生臭さが軽減され、柚子に含まれる抗酸化物質により鮮度が長持ちするようになるとのこと。飼料の違いでこんなにも違いがでるんですね!
画像出典:高知大学農林海洋科学部 海洋資源科学科 水族栄養学研究室 柚子鰤王Webサイト
そんな飼料業界の主要企業をご紹介します。
2015年に業界トップクラスの「協同飼料株式会社」と「日本配合飼料株式会社」が合併して生まれた飼料メーカー。2016年3月期の売上高は2,079億円と業界No.1。
特にアジアでの配合飼料の需要が増加しており、初めてベトナムに工場を設立するなど、海外展開も積極的。
配合飼料だけでなく、食品事業も手掛けており、世界で初めてクロマグロの完全養殖に成功するなど、新しい挑戦を続けています。
配合飼料の開発を始め、肥料・畜産物の開発・販売にも力を入れる独立系の配合飼料メーカー。2017年3月期の売上高は1,710億円と業界2番手。
ごまを配合した飼料を鶏に与えることで栄養素を強化した「ごまたまご」やいも類を30%以上配合することで、豚肉特有の臭みを軽減し、脂の甘みを増した「いもぶた」など、オリジナルな飼料を与えることでオリジナルな商品を開発しています。
天ぷら粉やからあげ粉で有名ですが、実は小麦・大豆・トウモロコシなどの穀物をトータルに扱う総合食品メーカーの昭和産業。実は飼料メーカーでもあり、売上の25%を占めます。
グループ会社の工場との連携や他の製品を製造する際に生まれる副原料を製粉工場などから受け入れられるため、コスト面などでアドバンテージがあります。
イソマルオリゴ糖を主成分とした鶏の健康に配慮したイソマルオリゴ糖混合飼料などに特徴を持っています。
いかがでしたでしょうか。お肉やお魚のもととなる飼料業界。みなさん、そこまで気にしたことありましたか?
今や飼料もただの餌ではなく、ブランド化するための1つの武器となり、食品ロスを減らすための1つの戦略ともなっています。飼料のおかげで食べ物がおいしくなれば、私たちも嬉しいですよね。
地味にスゴイ!飼料業界!
【地味にスゴイ!業界研究】一覧はこちらから
#1 【地味にスゴイ!業界研究】建機レンタル業界編
#2 【地味にスゴイ!業界研究】車イス業界編
書いた人:しごとの道しるべ 編集部
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