【インタビュー】飛び込み営業、叱責、残業…「古い」企業からは「撤退」すべし

今回は、前職で『通信教材を家庭への飛び込み訪問で販売する営業職』、現職で『賃貸不動産の営業職』をしている坂本さん(仮名)に来ていただいて、それぞれのお仕事の様子についてインタビューしました!

聞いただけでけっこう大変そうな両職ですが(笑)、はたしてその実態は?坂本さんの考える「仕事」とは?
少し長文となりましたが、今やりたいことがない人にも、やりたいことをなかなか仕事にできない人にも、ぜひ読んでいただきたいお話です。

※編集部注:本人の特定を防ぐため、登場する名称などは若干変えています。ただし、インタビュー内容が大幅に変わるような修正しておりません。

癖がすごい!?「グレー」企業の実態

編集部:いきなりですが、前職の話から聞きたいです(笑)

 

坂本:わかりました(笑)

前職では、地方の企業で営業職をしていました。俗に言う「飛び込み営業」というもので、各家庭を廻りながら、1回1000円の小中学生向けの学力テストを売っていました
で、それを受けてくれた家庭に、上司が追って、中軸商品である通信教材の営業に行く、というような会社でした。

 

編集部:企業自体が、かなり古い体質の企業と聞きました。勤務をしていて、大変だったことはありましたか。

 

坂本:そうですね。まず、退社時間がしばしばテッペンを越えます

 

編集部:あ、もう十分に大変そうです(笑)。

 

坂本:11時―20時が基本の勤務時間なので、もともとが遅いのもあるのですが、20時に営業終了」なので、「20時に営業活動が終了→そこから2時間かけて帰社→事務所に着くのが22時」みたいな感じなんです。加えて事務所に戻ってから、事務仕事をしたり、その日の売り上げが悪ければ、上司とロープレをして営業の仕方をおさらいしたりもしますから、退社時間はけっこう遅くなります。

 

編集部:ノルマも厳しかったんでしょうか。

 

坂本:どうなんでしょう、でも週一の朝礼で、個々の週の売上のペースを確認する時間がありました。そこで、前の週に目標を達成していない人は皆の前に出て、反省を言わされたり、「成績上がってないなら休みも出ろ!」とか言われたりしましたね。

 

編集部:体育会系ですね…。そういう企業では、洗脳状態になる人もあると聞きますが。

 

坂本:実際、その朝礼で、「みんなの足を引っ張ってしまって…」と言って号泣する人もいました。私はそんな風に思い詰めることはなかったので(笑)、その光景にはびっくりしましたね。

残業時間 グレー企業 ブラック企業

「やりたい仕事があるから。」―入社のきっかけ、続けた理由、辞めた理由

編集部:どういう経緯で、前職の会社に入社したのでしょうか。

 

坂本:もともと高校時代の国語の先生への憧れから、教職を目指して教育学部に入ったのですが、実習を通して、「今の私には無理だ」と思って、教材に携わる仕事を志すようになりました。

でも出版は倍率が高いし、他にも塾などの業界も見てみたのですが、あまりピンと来なくて。結局面接を受けた他の企業も落ちてしまったこともあって、並行して使用していたスカウト型の就活サービスで、妙に熱心に連絡を送ってくれていた前職の企業に面接に行くことにしたんです。

 

編集部:面接に行った時の印象はどうでしたか。

 

坂本企業の人事部の方って、親切な方が多いんですよ。今思えば、お仕事だから親切なんでしょうけど(笑)でも、何も知らなかったので、素直にいいなって思っちゃいました。

説明の時点では、「最初は全員営業部に配属だけど、売上を上げていれば、教材制作の部署に異動できるから」とのことでしたし、営業方法についても、最初は「電話のあった家庭への訪問営業です」って言われていました。

 

編集部:後々仕事始まってみて、「飛び込みかよ!」って思わなかったんですか?

 

坂本:思いました。こんな古い方法で売れるの?とも思いました。営業用の自転車も実費購入でしたし…。

 

編集部:実費購入!?その時点でやめようとは思わなかったんでしょうか。

 

坂本:違和感を感じる部分は多々ありましたが、会社の人はいい人が多かったし、いいお客さんにも恵まれていました。また給料が歩合制だったので、契約を多くもらって月の給料がぐんと上がる時は、やりがいも感じました

何より、やはり制作部へ行きたいという思いがありましたから、1年は続けようと思って。

 

編集部:でも、制作部には行けなかった

 

坂本:そうなんです。何度も申請を出していたんですが、「あんなところに行きたいの?」って言われて取り合ってもらえませんでした

併せて、ボーナスがすごく少ないことや、歩合制の給料に将来的な不安を感じたり、不自然な笑顔を作り過ぎて顔にえくぼができたりしたことをきっかけに、これはさすがにヤバいんじゃないかと思って。それで転職を決意しました。結局、入社から1年半後、転職先を確定した後辞めました。

まあ事業部自体も、私が辞めた次の月に無くなったので(笑)、結局転職しなきゃいけなかったんですけど。

第二新卒

制作の仕事ではないけれど…「転職先には満足しています」

編集部:今は、どんなお仕事をされていますか。

 

坂本:現在は、賃貸の不動産の営業をしています。皆さんがお部屋を探す時にお手伝いをするあの人です。

 

編集部:どのような経緯で今の仕事に?

 

坂本転職ナビ会社のキャリアカウンセラーに相談をお願いしながら、初めは、営業を一度脱しようと思って、事務職を希望しました。でも面接に行った時、みんなパソコンカタカタやってるじゃないですか。それを見て、あ、社内に籠ってずっとこの仕事をするのは私には無理だ、と思って(笑)

それで、そういえば私、まあ営業は嫌いではなかったなと思い直して。カウンセラーさんにも、飛び込みではない営業ならどう?ここなら事務のスキルも身につくし、ということで、今のところを紹介されました。

今回はきちんと条件面や、会社の安定性も見て、ボーナスについて詳細に記述があることや、産休が取りやすいことも確認したうえで、面接に行きましたね。

 

編集部:不動産屋さんも、結構大変な仕事のイメージがありますが…

 

坂本:でも、前の仕事よりは楽なので…(笑)

 

編集部:そう思います(笑)

 

坂本:今でも残業するし、帰りが遅くなることもありますが、残業については、私の事務仕事のスピードが上がれば減らせるものだし、営業時間を短くすると、売上減っちゃうし。前職みたいに、不本意にさせられている残業はなく、勤務時間や仕事の内容がすべて意味のあるものだと感じられているので、不満はないですね。

勉強することもたくさんありますが、前の仕事は、同じことの繰り返しで、半年やれば一人前というか、一年もやると飽きちゃうので、それがないのはいいですね。

 

編集部:今はもう、出版や教育に関心はないのですか。

 

坂本:あまり考えていないですね。もう、いいイメージもないし(笑)今は目の前のことでいっぱいいっぱいです。

 

編集部:となると、今の目標は。

 

坂本:目標は、「店長」です

 

編集部:店長!

 

坂本:「女店長」って格好いいじゃないですか(笑)それに、不動産も男社会なので、他の不動産業者からの電話に出ると、「女か。店長はいないのか」って言われるんですよ。私も負けず嫌いなので、店長になれたら何か変わるかなって。

 

編集部:なるほど。今はもう、完全にその方向でキャリアを積む意向なんですね。

 

坂本:そうですね。転職先には、満足しています。

「飛び込んでみる勇気」「撤退する勇気」

編集部:今学生さんで、初めての仕事を考えている人や、今転職を考えている皆さんに、何かアドバイスがあればぜひ。

 

坂本:まず、人や業務内容に関しては、入らないとわからない。これはもう仕方ないです。
おそらく人事部が窓口になると思いますが、実際にしごとをする人は別の人ですし、インターンや職場見学に行っても、全部の仕事を見れる訳でもないですからね。

ただ条件面については事前に確認できるので、やりたいことを仕事に、という意識のみで就職先を決めずに、ボーナスを含めた給与面、業務内容、勤務時間や有休取得率などをきちんと確認をしてみるべきだと思います。

あと難しいのは、やってみたら案外天職、という場合もあるんですよね、けっこう。
今は転職も普通に行える時代なので、やってみよっかな、でやってみても良いと思います

 

編集部:なるほど。インターンなどで、仕事内容は確認しつつ、あとは「運」だと。

 

坂本:「運」です。会社の良し悪しは、経験を積まないとわからないと思います。
ですから、情報をきちんと調べたあとは、「飛びこんでみる勇気」じゃないでしょうか。

 

編集部:それと、ヤバいと思ったら「撤退する勇気」、でしょうか(笑)

 

坂本:そうですね(笑)でも2~3か月では仕事の内容はわからないので、可能であれば、ある程度は続けてみることもおすすめします。

編集部あとがき
「いいなと思ったら、やってみなよ、違うなと思ったら、やめればいいし」という言葉は、今の社会の一側面を映す、リアルな言葉だと感じます。
自分の気になる業界・企業が決まっている皆さんは、機会があればぜひ、そこで働く方に、「リアル」なお話を伺ってみてください。思いがけない実態や、学校では聞けないようなアドバイスが聞けるかもしれません。

 

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書いた人:しごとの道しるべ 編集部
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