【インタビュー】ブラック企業に入社した人に、なんで入社しちゃったのか聞いてみた。

こんにちは、しごとの道しるべ編集部です。就職活動において、気になることの一つに入社する企業がブラック企業かどうか、ということがあるのではないでしょうか? 

ブラック企業かどうかを事前に確かめるのはなかなか難しいかもしれません。

そこで今回は、新卒で入社した企業がブラック企業だった…という鈴木さん(仮名)にインタビューしました。過酷なノルマや度重なる長時間労働など、ブラック企業と呼ばれる理由は様々ですが、いったいどのような実態だったのでしょうか。その内容をお届けしたいと思います。


※編集部注:本人の特定を防ぐため、登場する名称などは若干変えています。ただし、インタビュー内容が大幅に変わるような修正しておりません。

ブラック企業に入社した経緯


編集部
:今回はブラック企業に入社した人の体験談ということで、鈴木さんにお越しいただきました。いきなり核心に入りますが、鈴木さん、どうしてブラック企業に入ったんですか?

 

鈴木:ずいぶんと直球な質問ですね…。えーっと、一言でいえば、やりたいことを追いかけすぎた、ということかもしれません。その他の条件を無視してしまったというか。でも…今思えば、内定時に労働条件を確認しなかった、ということが主な原因なのかもしれません。

 

編集部:労働条件を確認しなかった。なるほど。でもこれって、求人票とか募集要項で給料とか休日の日数とか出てますよね?そこを見ていなかったとか?

 

鈴木:それが、求人票は確認していたんですけど、求人票と実際の労働条件が違ってたんですよね…

 

編集部:でた。すでにヤバい匂いがする。

募集要項と労働条件通知書の記載条件が違っていた


鈴木
:新卒の就活だと、もちろん就職ナビサイトとか、大学内の求人票で求人条件とか募集要項とか確認すると思うんですよ。

 

編集部:当然ですよね。

 

鈴木:入社した会社も求人票の記載は正社員採用で、月給18万円という条件でした。でも実際には、違っていたんです。入社日の当日に労働条件通知書というものを渡されて、そこには入社後3ヶ月はアルバイトで勤務。その後半年間が契約社員として勤務、そして勤務状況がよければ正社員として採用するという条件でした。

 

編集部:後出しじゃんけんだ。そしてアルバイト採用って、すさまじいですね。

 

鈴木:僕も正直びっくりしましたし。あれ、おかしいな…って。でも、あこがれの業界でようやく働くことができるし、実際には9ヶ月間ですかね、頑張れば正社員になれるってことで、その場では承諾しました。せっかく新卒で入った会社なので…入社してすぐ辞めるのもちょっとな、って思ったので。

 

編集部:おー…もしかすると、そんな心理を上手くついてきたのかもしれないですね。差支えなければ、その会社の業界を教えてもらっていいですか?

 

鈴木:業界…うーん。少しぼかしますけど、メインはウェディングドレスとかタキシードとかを扱っている会社です。元々はブライダル業界へのあこがれが強くて。就職活動もブライダル業界をメインに受けていました。当時、内定6社もらっていたんですけど、3社はブライダル業界で、他は不動産関係とかでしたね。

 

編集部:なるほど。

 

鈴木:仕事内容としては接客販売の仕事をすることになりました。店舗を運営していて、そこで自社製品のドレスやスーツなどの婚礼衣装を販売するイメージです。

 

編集部:過酷なノルマとかありそうですが。

 

鈴木:ノルマとか、異常な残業とかは無かったです。むしろ、それに関して言えば定時で帰れる日とかもあって。週休二日制でしたし。

 

編集部:そこだけ聞くと割とホワイトですね。

 

鈴木:店舗での接客だったので、平日にはお客様がいらっしゃらない場合もあって。なので、あまり残業はしませんでした。今思えば会社としても売上が厳しいときもあったんじゃないかな、と思います。ただ、やはりアルバイト採用ということで、3ヶ月間の時給生活というのは大変でした。時給1,000円だったんですが、月に20日、8時間働いて16万円ですから。年収換算だと192万円。しかも社会保険にも入っていなかったので

 

編集部:社会保険に入ってないのか…。

 

※編集部注:社会保険は条件を満たしている場合、会社に加入が義務付けられています。詳しくは、厚生労働省Webサイト「人を雇うときのルール」に記載があります。

 

鈴木:結局、3ヶ月間のアルバイトということも耐えきれず辞めてしまうことを決意したんですが。

 

編集部:急展開ですね。何かそう決意させる出来事でもあったんですか?

退職を決意したきっかけ


鈴木
:入社してから1か月後に、店長と面談する機会がありまして。そこで、鈴木さんにはあと3ヶ月間、アルバイトとして頑張って、早く仕事を覚えたら契約社員にするよって言われまして。その時に、「あ、辞めよう」って思いました。

 

編集部またひっくり返してきた。労働条件通知書のとおりにはならなかった、と。

 

鈴木もしかしたら求人詐欺だったのかもしれません。たぶん、いつか契約社員になったとしても、正社員になる際に同様のことを言われる可能性が高いな、と考えたからですね。それこそ、使い捨てられるんじゃないかなという危機感からです。なので、入社後2ヵ月経った6月の中旬ごろに退職することを届け出ました。まあパワハラのようなものも結構ありましたけど…。

 

編集部:パワハラ、あったんだ…。

 

鈴木怒られている時の態度が気に入らない、って怒られ方したことがあります(笑)

 

編集部:理不尽…!すぐ辞めることはできたんですか?それこそ、引き留めとかあったのでは?

 

鈴木:あっさり受理されました。あっけなかったですね。「あ、そう…」くらいで、若干心配されましたけども。

 

編集部:なるほど。もしかすると、そういったことに会社側も慣れてるのかもしれなかったですね。ちなみに、鈴木さんはこの会社を退職した後、どんな点に気を付けて転職活動をされたんですか?

※編集部注:鈴木さんは現在、営業マンとして活躍されています。ご安心を。

企業に応募するときに確認しておきたいこと。


鈴木
:やっぱり、なんといっても雇用条件ですね。やりがいとか夢も大事だし、そこはなくてはならないと思うんですが。こんなことがあったからこそ、転職サイトでも募集要項とかにはちゃんと目を通すようになりましたし、企業研究もしっかりと行いました。転職の場合だと、内定後の面談で労働条件通知書を入社前に確認するんですよね。条件のすり合わせということで。なので、そこはかなり慎重になりました。

 

編集部:ありがとうございます。それでは最後にこれまでの話を踏まえて、今の就活生にアドバイスできることがあれば教えてください。

 

鈴木:自分と同じ道を歩んでほしくないです。なので、可能であれば入社前に労働条件通知書などの書面は確認しておいてほしいと思います。たとえば、内定式の時に内定通知書をもらいますよね。そのタイミングなどで労働条件通知書をもらうようにした方がいいと思います。入社してからでは遅いというのが身に染みたので。それと、労働条件通知書を事前に提出するのをシブる企業は気を付けた方がいいのかもしれません。

また、ブラック企業かどうかということはなかなか新卒の学生にとっては判断しづらいと思います。だから、たとえばキャリアセンターの職員の方だったり、ハローワークの職員の方など専門家に相談するのも方法だと思います。一人だと視野が狭くなってしまったり、やはり知識が不足しがちなので。

 

編集部:鈴木さん、本日はいろいろと貴重なお話ありがとうございました。

 

鈴木:ありがとうございました。

 

まとめ

鈴木さんのケースは、「求人詐欺」というものに該当するケースだと考えられます。

「求人詐欺」には、このように正社員採用と書かれていながら試用期間中はアルバイトや契約社員の契約であったり、固定残業代制度を悪用したケースがあります。

なお、このケースは企業規模に関係なく発生する恐れがありますのでご注意ください。
新卒採用では、残念ながら入社前に事前に労働条件通知書をもらうことができるのもまだ多くはありません。ですが、鈴木さんのように入社してから実際の雇用条件と求人票が違うことが判明するのを未然に防ぐためにも、勇気を持って事前に書面での労働条件の確認をしてみましょう。

また、厚生労働省では、知って役立つ労働法~働くときに必要な基礎知識~ というサイトで、就職活動に役立つ労働関係法について情報を発信しています。こちらもぜひご覧ください。

 

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書いた人:しごとの道しるべ 編集部
あなたの「明日」が変わる就活マガジン「しごとの道しるべ」のコンテンツ制作チーム。就活コラムやインタビュー記事など、さまざまな「しごとの道しるべ」をお届けします。

twitter:@4510_michi

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