地域の工場見学ができるイベントに行ってきました!:【おおたオープンファクトリー】編

みなさんこんにちは!しごとの道しるべ編集部のシンドウです。

先日、「しごとの道しるべ」で、「地域の工場見学ができるイベントに行ってきました!:【スミファ】編」という、墨田区の町工場見学イベントのご紹介記事をUPしたのですが、

もう一か所、大田区でも、町工場を見学できるイベントがあるとのことで、実はそちらにも参加してきました!

それがこちら。大田区の【おおたオープンファクトリー】です!


(公式HPはこちらから)

大田区も、実は3000を超える工場が集まるモノづくりの町。

その魅力を、地元の工業会である「工和会」と、大田観光協会、併せ首都大学東京・横浜国立大学・東京大学の共同企画で発信していくイベントが、この【おおたオープンファクトリー】です。

 

当イベント、今年度はエリア・内容の異なる3日程が開催され、工場見学のほか、子どもたちが参加できるクイズラリー、職人によるトークショーなど、各回様々なプログラムが目白押し。

今回私は、11月17日、東急多摩川線の下丸子駅・武蔵新田駅の周辺の町工場を見学できる回に参加しましたが、この日の参加企業数だけでも数十社に上りました。

 

ということで!皆さんがこのプレミアムなイベントに、来年度は決して行き逃すことのないよう、その魅力を以下でたっぷりお伝えしますので、ぜひご一読ください!

「職人の技」を、たった一人で受け継ぐ

最初に訪問したのは、下丸子駅のすぐそばにある赤塚刻印製作所さん。

 

まず印象的だったのが、製作所のその様子。路地の先にある、謎の機械が所狭しと収容された4メートル四方のその部屋は、工場というよりも、なんというか、もはや「秘密基地」という感があります。

 

 

赤塚刻印製作所では、社長の赤塚さんと社長夫人のたった2名で(!)、様々な「刻印」を製作しています。

 

「刻印」とは何か。パッとは思い浮かばないかもしれませんが、端的に言えば、文字が飛び出して彫られている、ハンコのことです。

これを打ち付けて、自動車の部品に車体番号を記したり、指輪の内側に名前を刻んだり。
その他、皆さんが食べるチーズケーキやどら焼きの焼印に使用されたりもします。

 

つまり、「めっちゃ大事なマーク」をつける時に使われるのが、この「刻印」なのです。

 

この日は、製作所で作られた刻印のいくつかを、直接手に取って見ることができましたが、

まーーー細かい!

何が彫ってあるのか、肉眼では見えないものもありました。

 

鍵型の金具の先っぽの部分、ここにも文字が刻んである。

 

しかもこの刻印、機械と、「手彫り」の合わせ技で作ります

 

機械といっても、太さわずか0.1ミリの刃を、1分間に2万回転させて彫る機械まであるのですから、これだけでも十分繊細なものができるような気がしますが、角を綺麗に出し、絶妙な美しさを実現するためには、やっぱり手彫りが必要なのだとか。

 

奥様は機械の担当なので、「手彫り」はすべて赤塚さんが担当。赤塚さんの手彫りの「美しさ」を求めて、あえて手彫りでの製作をお願いされる場合も多いのだそうです。

 

 

さらに、刻印を彫る機械も、赤塚さんご自身で修繕

 

「機械を調整してくれるメーカーもみんな廃業してしまうので、壊れても自分で修理するしかない。そうするうちに、他の製作所から、「うちの機械も直してくれ」って言われたりしてね。不思議と仕事が増えるんだよね。」

 

まさに「職人の技」といえる技術の数々を、還暦を超えた赤塚さんが、一人で黙々と背負っているのだと思うと、なんだか勝手にしみじみしてしまいました。

 

ちなみに当の赤塚さんは、そんな重圧は感じさせず、終始とても和やかで、丁寧な、素敵な方でした。

赤塚さん、ありがとうございました!

「信頼」と「大田区のモノづくり力」を、未来につなげる

続いて訪れたのは、安久工機(ヤスヒサコウキ)さん。

 

事業所に到着すると、目に入る不思議な機械の数々。水の入った高い筒に、ぷくぷくとした立体の文字がかける太いペン、丸い水の膜を作る機械、不思議な縞模様が浮かび上がる砂嵐。そして事業所の奥には、大きな機械が何台も並んでいます。

 

さながら「理科室+工場」という感じですが、しかし、ここは…何屋さん…?

 

 

「ここは主に、オーダーメイドの試作品を作っています。」

そう答えてくれたのは、安久工機の社長、かつ当イベントの主催者である工和会の会長、田中隆さんです。

 

「例えば大学の研究室から「心臓の機能を模した機械がほしい」という要望を受け、人工心臓を作ったり、盲学校の先生から「視覚障害のある生徒にも『見える』絵を描きたい」との相談を受けて、インクが立体に固まるペンを製作したりしています。

先ほどの水の膜も、水膜の中で入浴する効果を研究している方からの要請で製作しましたし、砂嵐は、ある数学系の研究室から「僕たちが研究しているカオスを表現したい」と言われて作ったものです。」

 

ずいぶんと多様なオーダーですが、共通しているのは、どれも「今、世の中にないもの」を作っているということ。

なぜ、このような相談が、様々な方面から舞い込んでくるのでしょうか。

 

社長の田中さん

 

大田区は、工場同士の横のつながりが非常に強い。様々な工場が、連携して一つの製品を作り上げる文化があります。

 

うちの父は、そんな大田区で、仲間と協力して試作品を作り、この会社を発展させました。そんなこともあって、「困ったら安久に頼めば、安久が他の工場と協力して、何とかしてくれるだろう」ということで、多く声がかかるようになったんです。」

 

つまり安久工機は、大田区企業の「コーディネーター」

この地域の工場の力を結集させて、「今、世の中にないもの」を丁寧に作り上げていく、モノづくりの何でも屋さん、といったところでしょうか。

 

「でもあくまですごいのは僕らじゃない。高い技術力を持った企業さんです。父も常々言っていました。『うちの財産は外注さん(協力会社さん)だ』って。」

 

もう一人、社長の息子さんである、田中宙(ひろし)さんにもお話を伺いました。

 

 

現在は試作の設計をされているとのことでしたが、やはり工学系の学部のご卒業で?

 

「いや、ばりばりの文系です。なんなら、大学卒業後8年ほど、経理ソフトの営業マンやってました(笑)」

 

ええっ、ではなぜ、家業を継ごうと思ったんでしょうか。

 

使命感ですね

社長の息子、ということもありますが、この会社に寄せてもらっている「信頼」や、大田区がもっている、チームワークによる「モノづくりの力」を、途切れさせたくない、という思いがあって。

それに、設計、やってみると結構楽しいですしね。」

 

そういえば、この「おおたオープンファクトリー」を機に、この地域の工場に就職を決める方もいらっしゃるそうです。

「モノづくりがしたい!」じゃない人でも、モノづくりにかかわるようになる「きっかけ」って無数にあるんだなあと感じました。

安久工機さん、ありがとうございました!

自分たちにしか創れない「体験」を創る

3件目に訪問したのは、光写真印刷株式会社さんです。

こちらは、今回の【おおたオープンファクトリー】のパンフレット印刷も手掛ける、製本・印刷業者さんです。

 

いかつい建物に入り、いかついエレベーターに乗って2階へ。さらに2階に到着すると、いかつい機械が何台も並ぶ、印刷工程の現場に到着です。今日の3件のうち、一番「工場」感が強いですね。

 

 

ここではオペレータさんが、実際にこの大きな機械を動かしながら、印刷の工程を説明してくださいました。

 

写真に見える大きな箱4台が、それぞれ1色ずつ、ブラック・シアン・マゼンダ・イエローの順で紙に着色をしていくのだそう。しかもこの順番じゃないと、ちゃんと色が出ないんだそうです。

 

その後も、光写真印刷さんでは、印刷物をルーペで観察したり、

 

印刷物は「点々」でできている(詳しくはGoogle「網点」で検索)

 

子どもたちに交じって、缶バッジづくりを体験させていただいたり、

 

光写真印刷では、予約制のかざぐるまづくりのワークショップも行っていました

 

製本の機械を、特別に稼働していただいたり(!)

 

 

本当に、印刷工場だからこその、あらゆる面白さとカッコよさを体験させていただきました

 

最後に、製作生産部長の東さんが、こんな話を聞かせてくださいました。

 

「量産されるもの、捨てられてもいいようなものは、ネットの業者が格安でやってくれる時代です。

だからこそ僕らは、技術を生かして、どこよりも良い、手元に残る、1点モノを作っていこう、ということにしたんです。」

 

実際、光写真印刷では、お店のオープンイベントに使う印刷物、看板、Bリーグのグッズや等身大パネルなど、人々の手元に、あるいは記憶に残るものの製作に注力し、印刷技術者だけではなく、デザイナーの拡充等も視野に入れているそうです。

 

それぞれの工場ならではの体験ができることと、それぞれの工場の「歴史」を見聞きできること。これも、このイベントの大きな魅力の一つでした。

光写真印刷さん、ありがとうございました!

さいごに

ということで、いかがだったでしょうか。【おおたオープンファクトリー】の魅力、伝わりましたでしょうか。

 

今回のイベントでは、いろんな工場に行ける&いろんな人と会って話ができる、という楽しさはもちろんですが、

同時に、ただ工場という「モノ」だけではない、その会社が抱く「想い」や「歴史」、さらに、そこで働く一人ひとりの「人生」に”触れることができる”、ということも、とても魅力的でした。

 

2019年は11月23日頃の開催予定だそうです。
今年の【おおたオープンファクトリー】も、ぜひお楽しみに!

 

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書いた人:しごとの道しるべ 編集部
あなたの「明日」が変わる就活マガジン「しごとの道しるべ」のコンテンツ制作チーム。就活コラムやインタビュー記事など、さまざまな「しごとの道しるべ」をお届けします。

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